日本映画は再興できる/李鳳宇
★★★★☆
僕の大好きな映画「パッチギ」のプロデューサーでもあり、
配給会社シネカノンを設立した方の本です。
日本映画の改革案が書かれており、興味深く読みました。
・前売り券
これがチケット屋で300円~400円で売られるというダンピングが起こることで、映画のクオリティ、価値が下がる。
・映画スター
テレビ、CM、映画と同じタレントが出ることで、映画館で1500円払う価値が薄れる。東宝芸能、松竹芸能はテレビタレントを作るべきではない。
・系列映画館のあり方
100万人に見せる映画しか作れないという必然が生まれる。
・哲学
日本人は日本のことを考えない。他のどの国よりも。それが哲学を持たない映画人を輩出し、新しい血が生まれる可能性を狭めている。
どれも、納得できます。
日本映画が文化として根付かない要因です。
特に、哲学に関しては、
最近アメリカ人と接する機会があるので、実感できます。
彼がアメリカを語るように、僕は日本を語れないのです。
そして、「観客が映画をどれだけ理解できるのか?」
ということも考えさせられました。
例えば、ウディアレンのコメディで繰り返されるジョーク。
ここには、ジューイッシュならではの言葉、習慣があるそうです。
それが、100%わからなくても、僕は笑えたりしていたわけです。
100%与えることが全てではなく、いかに想像力を掻き立てることができるかが、いい作品の条件なのかもしれないと感じました。
そういう意味では、テレビ局が作る映画の多くは、100%与えてしまっているのかもしれませんね。