NANA
☆☆☆☆☆
意思のない映画です。ただ「儲ける意思」はあります。それだけです。だから未完成な印象を受けるのす。役者、ストーリーから金の匂いがプンプンします。映画は商業ですが、そこに固執しすぎると、お金を払う価値がなくなってしまうという良い例です。勉強させていただきました。
俺ならこう売る!/藤巻幸夫
★★★☆☆
福助(株)という会社の社長の本です。
この中では、モノを売ることをクリエイティブとして捉えています。
内容は、いたってシンプル。
「感性=こだわり」を身につけることこそ、消費者が求める感動、ときめき、
癒し、というプラスアルファを創造できると言っています。
中でも、最も共感できたのは、「感じるマーケティング」です。
データ=顧客のニーズとは限らない。
なぜならデータは過去の現象で、買わなかった人の検証ができないから。
街の変化を感じたり、一流レストランに行ってみたり、映画を見たり、
そういう豊かな経験の中での感動こそが、消費者視点を養うとあります。
僕は、広告代理店でインターンシップをしていた時に、
データ中心になってしまうと、新しい提案ができないことを実感しました。
先を見ることをないがしろにしてしまうからです。
街の変化を見ることなど、すっかり忘れてしまうのです。
そこには、売る面白さも、買う感動もないでしょう。
だから、この「感じるマーケティング」論には大賛成です。
モノだけでなく、サービスを売ろうとする人にも指南してくれる本だと思います。
メゾン・ド・ヒミコ
★★☆☆☆
メゾン・ド・ヒミコを見に行ってきました。日テレで結構宣伝されていて、しかも池袋では今日が公開初日なのに、空席がたくさんあってびっくりしました。
この映画はゲイという「マイノリティ」を扱っています。それが、良いか悪いかという低俗な議論を越えたとこで、感情を描いているのが、良かったと思います。愛や欲望がいかに理屈では片付けられないものであるか、少しだけですが、伝わってきました。が、表現の部分では、ミュージカルシーンの意図がいまいちよくわかりませんでした。どちらかと言うと、僕は「ジョゼ~」のほうが好きです。
それと、やはりテレビの役者が映画に出るデメリットが見えてしまいます。オダギリジョーと柴咲コウが寝るシーンでも、柴咲コウは脱がない!とわかってるので、ストーリーが先読みできてしまいます。どうせ途中でやめるんだろ??と。ドキドキもしません。まぁ、でもただでさえ客が少ないのに、あの2人出てなかったら儲かりませんよね。やはり映画会社がスターを育てるしかない気がします。
日本映画は再興できる/李鳳宇
★★★★☆
僕の大好きな映画「パッチギ」のプロデューサーでもあり、
配給会社シネカノンを設立した方の本です。
日本映画の改革案が書かれており、興味深く読みました。
・前売り券
これがチケット屋で300円~400円で売られるというダンピングが起こることで、映画のクオリティ、価値が下がる。
・映画スター
テレビ、CM、映画と同じタレントが出ることで、映画館で1500円払う価値が薄れる。東宝芸能、松竹芸能はテレビタレントを作るべきではない。
・系列映画館のあり方
100万人に見せる映画しか作れないという必然が生まれる。
・哲学
日本人は日本のことを考えない。他のどの国よりも。それが哲学を持たない映画人を輩出し、新しい血が生まれる可能性を狭めている。
どれも、納得できます。
日本映画が文化として根付かない要因です。
特に、哲学に関しては、
最近アメリカ人と接する機会があるので、実感できます。
彼がアメリカを語るように、僕は日本を語れないのです。
そして、「観客が映画をどれだけ理解できるのか?」
ということも考えさせられました。
例えば、ウディアレンのコメディで繰り返されるジョーク。
ここには、ジューイッシュならではの言葉、習慣があるそうです。
それが、100%わからなくても、僕は笑えたりしていたわけです。
100%与えることが全てではなく、いかに想像力を掻き立てることができるかが、いい作品の条件なのかもしれないと感じました。
そういう意味では、テレビ局が作る映画の多くは、100%与えてしまっているのかもしれませんね。